【古雅楽館】台所改装計画 Ⅰ

 

 

古雅楽館(ここでは家)は、昭和40年代初めに親父が新築し、平成に代わった直後に古雅楽館が増改築したもので、建ててから延べ50年以上になる。手入れはマメにやってきたつもりだが、これだけ長く住んでいればヒトと同じ、どこかしらガタが来るのは免れようがない。これまで屋根や外壁の再塗装、給湯設備やガスコンロの交換等、一通りの「リノベ」は行った。ただ多少壊れたり不具合になっても、そのまま何とか我慢できれば「まあいいか」と妥協してしまい、後になってどうしようもなくなるのが世の常である。

 

3・11の時は家屋本体のダメージは免れたけれど、洗面台はシンクの陶器にひびが入り応急修理で水漏れを防いだものの、そのままズルズルと今まで使ってきた。リビングルーム東出窓にある三連ブラインドは昨年暮、中央の一台が昇降コード切れでイカレてしまい、完全に上がらなくなった。その他、台所の手元灯が断線、リビングのフローリングが一部剥がれ、廊下のクロス貼りが汚損等、積年の問題が積もり積もって、遂に何か所かは修理しないとどうしようもない状態になってしまった。

 

重い腰を上げて、リフォーム業者に修理費用見積をとったのは年が明けてから。詳しい説明と要望を出したものの、出てきた見積書は金額もそうだが何となく釈然としないものがあった。単なる改修費用の見積書で、「提案」というものがない。インテリア資材の品質、デザインは日進月歩だから改装するにしても例えばブラインドであれば「木製」や「ハニカム」とか、プラスαの案内があってもいいだろうし、商売だから「多少高くてもこちらの方がより優れています」的なアピールがあっても良いのではないかと思うのだが・・・。

 

まあ、古雅楽館の「ヲタク」ぶりに敬遠したのかもしれないけれど、やはりインテリア設備専門店へ行って相談しないとダメなのかと逡巡(しゅんじゅん)していた矢先、今度は冷蔵庫がブッ壊れてしまった。それも何の前触れもなく突然にである。

 

 

 

【写真上左】冷蔵庫搬入・搬出にあたって「落花狼藉(らっかろうぜき)」の現場、リビング入口から東を見たところ。冷蔵庫と出入口の幅がギリギリで、支障がありそうなものは全て避難。真ん中のブラインドが本文に書いた「壊れかけ」のヤツ。【写真上右】スピーカーは勿論のこと絵も一枚は外してしまい、台所から「レンジ台」も移動。まるで引っ越しの状景であるが、この高揚感は何だろう。

 

事の起こりはつい最近、日曜日の夕方チビスケ一行が帰ってカミさんも自分の部屋へ引っ込んでしまい、「ヤレヤレ」と毎度の晩酌を始めた時である。例によって駆けつけに「ジンロック」を飲ろうと氷入れを開けたら、中の氷が半ば溶けかけている。この時は二歳半になる二番目のお茶目な娘がトレイを開けっ放しにしたままだからと思っていた。仕方なく近くのコンビニへ氷を買いに行き、先ずは一杯やっつけて、つまみのチーズを出そうと冷蔵室の扉を開けたら今度は妙に生温い。「ええっ!」と驚き、冷凍庫を開けると全てが半解凍状態、半日は経っているようだった。そう言えば冷却モーターの唸り声も途絶えているのに気付いたのだが、それでも扉のモニターライトはしっかり点灯しているので、カミさんも子供たちのドタバタで気づかなかったのだろう。カミさんに事情を話しても冗談としか受け取らない。無理やり冷蔵庫まで連れて来て「今晩は冷蔵庫の扉は開けるな」と言い渡し、一縷(いちる)の望みを託しながら翌朝まで様子を見ることにした。次の日、朝6時に起床して真っ先に点検したところ、やはりと言うか庫内は更に悲惨な状況になっていた。冷凍したものはぐにゃぐにゃだし、製氷トレーの中は氷が全部溶け、水が「たぽたぽ」と揺れている。

 

家電製品の故障で何が一番困るかと言えば、冷蔵庫と洗濯機だろう。レンジや掃除機は何日か使わなくても何とかなるし、手作業でそこそこやり通せるが、上の二つは代用が利かない。桃太郎じゃあるまいし「川で洗濯」は出来る訳がなく、手洗いにしても大体イマドキ「洗濯板」なんて持っている家庭はどれだけあるだろう。それに洗濯物もソックスなどの小物は兎も角、バスタオル数枚洗うとなると、年寄りにはとても無理。冷蔵・冷凍に至っては最早素人には打つ手なし。文明の利器に頼ってきた己が生活の弱さを3・11以来、改めて知る羽目になった。

 

ショックを受けつつも、普段ウダウダと吟味する古雅楽館としては珍しく、この時点で「買い替えるしかない」と決断した。カミさんも二の次返事で、もちOKである。その日はいつも通り出勤し、急ぎの案件を処理した後、昼休みの時間を利用してカミさんと共に「ニッパーロク」沿いにある「ちびまる子」印の家電店へ急行した。

 

どのメーカーというアテはない。「白物家電」だから、メーカー不問である。前提条件はコストパフォーマンス、機能はシンプル・イズ・ベスト、野菜庫よりは冷凍庫の位置と容量優先、今更「スマホ対応」や「インテリアにマッチしたデザイン」なんかは関係なし。そこまで絞れば、目移りするほど並んでいる商品の中でも自ずから限られてくる。よって『日立』の「型落ちタイプ」で決まり。元々『重電メーカー』だけに、昔ながらの白塗装とオーソドックスなデザインは如何にも冷蔵庫然とした実直な感じだが、質実剛健さがかえって「ヘビーデューティー仕様」の台所にマッチすると感じた。

 

ここでちょっと脱線するが、「K’sデンキ」、販売員の仕事の連携ぶりには感銘した。最初に応対してもらったのは年配のフロア係女性スタッフだったが、母親的な安心感と丁寧な接客力、ニーズに答えるだけの商品知識でカミさんは一気にファンになってしまった。契約した後は実務担当のスタッフに交代し、こちらもスムースな手続きで即納希望したら、翌日午後には配達可能とのことでやれ一安心、何等ストレスなくこれで完了。

 

 

 

【写真上】搬入した新しい冷蔵庫はこんな状態で安置。周りのラック含めその顛末(てんまつ)は次回にて。

 

その日の夜と翌日は旧冷蔵庫にあった食料の整理、よくもこんなものを長い間入れていたのか、訳の分からない冷凍品がどんどん出てくる。仕方ないのであらかたのモノは廃棄処分にしたが、貝類は勿体ないから『アヒージョ』にしてオイル漬け、これで一日二日は常温でも保存できる。ついでに庫内や裏側も含め、冷蔵庫本体も掃除。「どうせスクラップされるのだから、そのままでも構わない」のかもしれないが、たとえジャンク品であろうと、これまでの恩義を感じれば、汚れた姿で送り出したくないのが古雅楽館(とカミさん)の心情である。後は運送会社が到着するのを待つばかりだ。 

 

《この項続く》

 

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1.Honeycomb =ハチの巣 従来のブラインドは「羽(=スラット)」と呼ばれる多数の板で構成されるが、こちらは布製・和紙製の「蛇腹状」をしたプリーツが重なっており、横から見ると「ハチの巣」のように見えることからこの名がついた。この形状は中の空気を閉じ込めることにより優れた「断熱効果」が得られ、遮光(しゃこう)や目隠しといった本来の役目も果たす新しいタイプのブラインドで、最近の人気商品となっている。

 

2.必需品ではなくなったものの、洗濯の達人に言わせると作業着やスポーツウエア、靴下など、汚れのひどい部分を予め洗うのに手放せないとのことである。amazonでもプラスチック製や、昔ながらの本格的な木製まで扱っている。なお、宮崎県観光名所の一つ青島にある『鬼の洗濯板』は、階段状に浸食された『波状岩』が島を取り囲む様に広がり、国の「天然記念物」に指定されている。

 

3.Ajillo スペイン語で「小さなニンニク」の意。料理の場合、正しくは「アヒージョ」の前に食材名がつく(例: Gambas al ajillo ガンバス・アル・アヒージョ = エビのアヒージョ)。大蒜(にんにく)、唐辛子、塩ので味付けしたオリーブオイル煮。鍋は『カスエラ』と呼ばれる陶器を用いるが、古雅楽館では単身赴任時代の「一人鍋」を10年以上使い続けている。詳しくはいずれ。

 

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【トップ写真】『チオノドクサ・フォーベシー・ピンクジャイアント( = Chionodoxa Forbesii “Pink giat” )』。古雅楽館の庭で「クロッカス」と並んで真っ先に春を告げる花。クレタ島など地中海東部の島々や、トルコ原産の小型球根植物で「山野草」的な趣(おもむき)があり、花色はブルーがポピュラー。最近の園芸品種は写真のようなピンクや白もある。夏の暑さに弱く関東以南では夏越しが難しいけれど、冷涼な気候の仙台では放任状態でも良く育つ。

 

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