【古雅楽館】 ブックシェルフ放浪記

 

前回冒頭で述べた、ユニット家具をリビングに持ち込んだ件は当然のことながら理由があって、一つにはカミさんが集めた大皿が和食器特有の不規則なカタチをしている物が多いため、収納に苦労していること。もう一つは何時(いつ)の間にか包丁の種類が増えてしまい、分散して収納していたのがそろそろ限界に達したことで、それらを一ヵ所に集約して不便を解消しようというタクラミである。 

 

古雅楽館のリビングルームはベランダに面した南側のガラス戸以外、壁面全て家具(と絵)で占められているめ、どこに置くかは相応の工夫が必要なのだが、今まで一個置いてあった同じシリーズの隣合わせに並べただけなので、取りあえず収まった。 「取りあえず」と書いたのは常識では考えられない、ダイニングテーブルの下というか「板受け」代りの反則技だから。

 

そのテーブル自体は更に古く、現役時代東京へ転勤になった折、マンション暮らしをするのに「船橋ららぽーと」で購入したもので、カップボードとペアになった「片側バタフライ」である。昨今のバタフライテーブルは脚がスライドするタイプが主流だが、その頃はテーブルの裏に取り付けられた「バー」を繰り出してテーブルを支える、昔ながらの単純な方式で強度的には多少不安のあるものだった。古雅楽館のリフォームに合わせて向こうから引っ越してきた時は更に蝶番の一つが壊れており、展張しても水平にならずダラケてしまい、お洒落とはほど遠いルックスになるので、しばらくの間補助版は下げたままにしておいた。 

 

その頃古雅楽館は単身赴任でまだ東京にいたから、仙台に帰って来るのは月一がせいぜい。普段家族はテーブルを畳んで使っていても何の不便も感じなかったので、そのような状態はかなり長い期間続いた。10年程前退職して仙台へ戻り、時間をかけてそれまで手つかずだったリビングや台所を整理、家具の配置換えやオーディオ機器のセッティング等行ったが、改めてテーブルのことが気になり始めた。蝶番さえつけ代えれば済む話だが、どうせなら「展張したままにしておきたい、それも強度を持たせて」となるといささか難問で、妙案が浮かばない。そんなこんなしている中に例の3・11がやって来て、それどころの話ではなくなってしまった。

 

 

【写真上】トップ写真を右アングルから見る。シェルフの天板は「飾り台」で「ヘンな物」ばかりが並ぶ。右から「偏光計」、スピーカーの上に「ライヘルト顕微鏡」、「フジツボ」、「ウミユリの化石」。中央のダブルサイズの上は『座繰(ざぐ)り』、センタースピーカー2台の上が花瓶とペーパーウエイト。左端が『秤(はかり)』でスピーカー(とその上の小物)以外、前回記したように以前【古雅楽館】で紹介済である。

 

やがて何年か経ち、後片付けも全て終わり漸く落ち着き始めた或る日、遅い朝食の後ソファで本を読んでいて何気なく部屋の周囲を見渡した時、思いがけず気が付いた。部屋正面に並べてあるユニット家具「ブックシェルフ(本箱)」の高さが丁度テーブルの下面とぴったりなのである。

 

古雅楽館のリビング内装は写真にあるように一般的なクロス張りではなく、「パイン材、節(ふし)あり板目」の『溝付き化粧合板』である。リフォームの際、カントリー風の『ウッディ』なインテリアにするのは既存の家具やエスニック・アンティーク小物との統一感を持たせる上で最初から決めていた。横張りのせいで「額」を釣り下げる時や家具のセッティングの際、容易に水平を出せるのは副次的効果だった。それと、板目の幅が約10センチメートルなので寸法を目測で簡単に割り出せるのがこれまた便利。

 

という事で、板目の枚数を床から数えるとシェルフの高さとテーブル板の下面までが同じという先の発見に繋がったのだが、今まで気が付かなかったのは普段の生活で、立った姿勢からの「上から目線」でしか見ていなかったからだ。何事もそうだが、ちょっと見る角度を変えるだけで新しいアイディアが閃(ひらめ)くという教訓でありました。

そうと気付けばコトは早い。別室にあった同じユニットを1台持ってきて、試しにバタフライの端を乗せてみたら、甚だ具合がよろしい。定位置は東の出窓下に持ってきて、テーブルのセンターに合わせ1/3程をバタフライの展張した受け台にした。その状態はこれまでにも何回か古雅楽館の写真に登場している

 

 

 

【写真上左】シングルシェルフ1台の情景。シェルフはテーブルの中心に持ってきた。この状態が4年程続いて➔。【写真上右】昨年秋、更に一台追加した状態。左側を基準にしたが、それ程不自然には見えませぬ。赤と茶色の円筒形はイケアのキャンドル。

 

ブックシェルフはフィンランド製のパイン集成材で、これを見つけるまで部屋にマッチするサイズやデザインを探すのにかなり苦労した。ようやく渋谷の東急ハンズで完成品を目にし、何度か足を運んで購入を決心したのだが、何しろ三十年以上も前のことなのでもう絶版である。

 

ユニット家具と謳(うた)ったように別売りのパーツを選んで、自分好みのシステムを組み立てる方式だが、シンプルながら大変良く考えられた設計で、奥行きがあるためLPレコードもすんなり入るし、ロータイプの高さだから目障りにならない。二台重ねて使えるようトップは側板と背板がコの字型に天板を囲んでいるので、小物が裏側へ落ちる恐れがないし、アクセントにもなって単なる「本箱」ではない「北欧的センス」を印象付けている。そしてこの側板と背板が突き出ているのが「キモ」で、テーブルを受ける役割にしたから、シェルフのトップは色々な物を置くのに有効に活用できるのが大変ヨロシイ。

 

 

 

【写真上左】追加した抽斗のシングルユニット。【写真上右】反対側から見る。右が以前からあったシェルフ。同じパイン材だからテーブルと壁とのカラーコーディネーションはバッチリ。

 

古雅楽館では基本となるシングルのオープンタイプ2台と、横幅が2倍のダブルサイズにオプションのガラス扉を取り付けたタイプ2台、シングルにオプションの抽斗(ひきだし)付1台で、当初は予定通り全てリビングにあったのだが、その内大型のガラスケースがやって来て、シングルは別の部屋に追いやられ、一時(いっとき)メインスピーカーの間に鎮座(ちんざ)するダブルサイズだけになってしまった。

 

その後例よって本やCD・レコードが増えてしまい、リビングへの出入りが不便になるのを承知で、無理矢理スピーカーの横にシングルを1台並べ、相前後して今回のテーマであるテーブルの受け台代わりになる1台追加。そして最終的に出戻りの抽斗付1台を付け加え、受け台を並列にして全てがやっと元の莢(さや)に収まり、「めでたし、めでたし」。

 

ただちょっとだけ困ったのは二番目のちびちゃんが古雅楽館にやって来ると、カップボードと抽斗の間に出来た「隙間(の奥)」をいたく気に入って、何かと居座ること。「コドモはどうして部屋の隅っこが好きなんだろう」と改めて思う今日この頃でありました。

 

    

 

【写真上左】抽斗のシングルユニット、下二段が皿や鉢など。上二段はペティナイフやチーズナイフ等が納まる。【写真上右】カップボードの前に陣取って「一人遊び」するちびちゃん。奥の隙間が大のお気に入り。

 

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1.『バタフライテーブル』とは、折り畳みの補助板(袖板)が付き、必要に応じて天板の長さ(広さ)を変えられるテーブルのことで、畳んで(補助を下げて)おけば部屋が広く使え、来客時や家族の数に合わせて補助を上げれば、テーブルを大きく使える機能的な仕組みである。両サイドに補助が付く『両側バタフライ(ネーミングの起源)』と、片側だけに付く『片側バタフライ』がある。

 

なお、似たものに『ゲートレッグテーブル』があり、補助板未使用時に垂れ下がるのは同じだが、上げた時の支えが別の脚で蝶番を中心に広げられその上に乗せる仕組みだ。コチラの方が安定感があるのだが、広げた時の「見た目」は「脚」が各サイド一本増えてしまい、ともすれば腰かけた時の足のやり場に困ってしまう。歴史的には『ゲートレッグ』の方が古く、ヨーロッパ発祥。『バタフライ』は19世紀に米国で普及した。ついでながら、これらを総称して『ドロップリーフテーブル = Drop-leaf table』という(ややこし)。

 

2.『めかぶ』、『一斗枡』、『ムール貝』、『コリンキ―』に写真があるのでご覧あれ。

 

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【トップ写真】前回にのせたトップ写真の続きで、「絵」をかざった吊るしている壁面下部。中央がダブルサイズのシェルフ2台。スピーカーの右がシングルユニット。

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