【古雅楽館】 コリンキー

 

古雅楽館の庭はかって紹介した様に『木蓮(もくれん』を中心とした花木が大半で、11月半ばを過ぎると葉っぱが皆落ちてしまい急に寂しくなる。そこで冬の庭を賑やかにしようと、クリスマスイルミネーションを始めて10年位になるが、実はイルミネーションが始まる前、10月にも庭を飾ろうと目論んだことがあった。

 

ハロウィンのオバケカボチャ『ジャック・オー・ランタン』である。今は「百均」でもかなりの種類が売られているハロウィングッズは、当時どんな店を探してもマトモな商品は扱っていなかった仕方ないので台所用のプラ製ボウルを買って来て、模型用電動カッターで目鼻や口をくりぬき、プラ塗料を塗ってそれらしきモノを作ったが、中に入れる光源に適当なものがない。LEDが無い時代、キャンドルや白熱球はプラスチックが融けてしまうので、仕方なく小さな懐中電灯を入れてみたものの、電池が持たない。それに10月はまだ木々に葉っぱが残っているので、木の枝にぶらさげても目立たないというか、葉の陰に隠れて見えなくなる。

 

何度か吊るす箇所をウロウロして、ようやく門柱に下げてみたのだが、それがアダになり数日後カミさんから笑って怒られた。「家の前を通る子供達が気味悪がっているので、飾るのをやめたら」とのお達しである。張りぼての半完成品で自慢できるシロモノでもなかったから、「ああそうですか」と半ばふてくされ直ちに撤去してしまった。それ以来飾るのは止めにしたが、それ程ハロウィンはつい最近まで全くと言っていい程マイナーなイベントだった。だから古雅楽館にしてみれば、イマドキの浮かれ騒ぎは違和感を覚えずにはいられない。仕掛けられたもの というイメージがどうしてもつきまとう。

 

映画『E.T.』で自転車が空を翔ぶあの有名なシーンはハロウィンの日だったことをすぐ分かった方は当時どれ位いただろうか。『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』を今再上映したらもっと客の入りがあるのではないか。と、年寄りの愚痴(ぐち)を言ってみたところで始まらない、去年ハロウィンマーケットは売上1,000億を超すまでに膨れ上がったそうだから、これからもブームは継続するのでしょうね、多分。

 

 

【写真上】変わりカボチャ三兄弟。奥が一つ前に書いた『金糸瓜』。手前のオレンジ色が『コリンキ―』。右のヒョウタン型が『バターナッツ』でいずれ紹介予定。

 

ところでダイニングテーブルのかごには未だにぺポカボチャが残っているが、前回のカボチャついでに別の新顔を紹介しておきたい。その名も『コリンキー』、れっきとした国産種である。品種登録されたのが2002年だから今年で15歳、「たびの邸宅」がある鎌倉市でデビュー。その割には知名度がイマイチで一部の八百屋で売っているものの、まだまだ広く市場に出回るまでに至っていない。

 

 

 

【写真上左】程々の硬さなので今回は「中華包丁」で切り、スプーンでワタをくり抜く。【写真上右】いきなり変化技で恐縮ですが、鮭の御頭(おかしら)とコリンキ―の『まーす煮』。いつもは「フィッシュ・ヘッド・カレー」にするのだが、見た目を考えて「沖縄料理」にした。『まーす』とは沖縄方言で塩を意味し、水・塩・泡盛だけで煮るのが基本。作る人により調味料や豆腐・野菜を加えてアレンジの仕方が変わる。

 

コリンキ―最大の特徴は、皮ごと生食できるカボチャであること。完熟させず、未熟果を利用する新顔野菜でカボチャよりは瓜に近い食感である。一説では食べるとこりこりした歯ごたえなので『コリンキ―』という名がついた(らしい)。然し古雅楽館としては『こりん星』からインスパイアされたと思いたい。果肉も程々の堅さなので下拵(したごしら)えの包丁を入れるのに苦労しない。

 

 

 

【写真上左】こういう物を弁当のおかずに持ってくるのだから、変人扱いされるのだ。【写真上右】コチラはマトモ。モルタデッラ(ボローニャソーセージ)・ジェメッリ(ツイストのショートパスタ)・胡瓜・シャドー・クイーン(紫ジャガイモ)・レッドパプリカ・コリンキ―。

 

食べ方としては特長を生かしたサラダや浅漬が主流なだが、熱を通しても鮮やかな黄色は褪(あ)せないので、肉や魚の付け合せなどに応用範囲が広い野菜である。古雅楽館では『ソムタム』風のサラダや、『ラタトゥイユ』のバリエーションでズッキーニの緑、レッドパプリカの赤、茄子の紫、コリンキ―の黄とカラフルな色合を楽しんでいる。

 

シーズンはとっくに過ぎてしまったが、βカロチンやビタミンC・鉄・カルシウム・カリウム等も豊富なので、手軽に料理出来る緑黄色野菜として来年是非チャレンジしてみては如何でしょうか。

 

 

 

最後のコリンキ―残り僅かになったので、小さく切って黄色を生かした弁当のおかずを二日続けて今年はおしまい。【写真上左】豚しゃぶの冷製・菊芋・アスパラガス・ズッキーニ・人参・レッドパプリカ・コリンキ―。【写真上右】厚切りベーコン・塩サバ・玉葱と椎茸、平茸(ひらたけ)のソテー・レッドパプリカ・コリンキ―・胡瓜とカリフラワーのピクルス。

 

______________________________________________________________________________

 

1.古雅楽館【マグノリア】参照。

 

2.Jack-o’-Lantern ケルトに伝わる「鬼火」で「ランタンを持つ男」の意。その男が誰であるか色々な説があるが、死後の世界(天国・地獄)へ行けず、ランタンを持ちながら現世と来世の間を彷徨(さまよ)っているのが共通している。そのことからハロウィンの日に飾る「キャンドルホルダー」を『ジャック・オー・ランタン』と呼び「善霊」を招き「悪霊」を退散させる働きを持つ。本来はカボチャでなく蕪に似た『ルタバガ』で作るのが正当で、スコットランドでは今でも蕪男が普通。アメリカへ移民したアイルランド系の人々は『ルタバガ』が無かったことから、カボチャで代用したがこれが評判を呼び、一般的なスタイルになった。

 

3.1982年に公開されたスティーヴン・スピルバーグ監督のSFファンタジー映画。3億ドルもの興行収入をあげ、日本では1997年の『もののけ姫』に抜かれるまで映画配給収入歴代1位であった。ハロウィンの日に街中がハロウィン・コスプレに溢れ、白い布を被せられたE.T.がSW(スター・ウォーズ)『ヨーダ』を追いかけようとするシーンが笑える。

 

4.奇才ティム・バートンの原案・制作による「ホラー・ミュージカル・アニメーション」映画。舞台がその名も「ハロウィン・タウン」から始まって、『ジャック・オー・ランタン』が山盛り出てくる。

 

5.週刊新潮WEB」によると、ハロウィン市場は2011年560億の売り上げだったのが、2016年には1,345億にまで達したそうだ。

 

6.この説には無理がある。モノの本によると「ゆうこりん」の『こりん星』ネタが初めて世に出たのは2001年初夏とのこと。仮にネーミングを参考にしたところで、品種登録申請してから承認されるまでの時間がなさすぎる(通常、品種登録に要する時間は出願してから1~2年)。

 

7.ラオスとタイ北東部「イサーン」(詳しくは古雅楽館【タイ料理Ⅰ】参照)の地方料理だったが、「イサーン」出身者が全国に広め、タイ料理の定番にまで出世した。細く切った「青パパイヤ」に隠元・ピーナッツ・トマト・干しエビを加え、ニンニク・唐辛子・ライム・ナンプラーで調味する。「青パパイヤ」の代わりに人参やマンゴー、胡瓜、で代用されることも多い。

 

8.南フランス・プロバンスの野菜煮込み料理。玉葱・ズッキーニ・茄子・パプリカ・トマトを炒めて煮込む。特産であるハーブのミックス『エルブドプロバンス』で風味を出し、味付けは塩・胡椒だけのシンプルさが基本なので野菜の新鮮度が勝負所。似たものにシシリア・ナポリの郷土料理『カポナータ』があるが、こちらは茄子を素揚してセロリ・パプリカ・オリーブ・トマトを加えて煮込む。ワインビネガー・砂糖も加えるので甘酸っぱい味が特徴。「さっぱり系」と「しっかり系」の違いと言えるかも。

_______________________________________

 

【トップ写真】古雅楽館、ダイニングテーブルの窓際には野性味のある季節の花や果物、野菜を入れた「かご」を飾って「カントリーテイスト」を演出。紫色の切り花は『サルビア・インディゴ・スパイヤーズ』。左の「かご」にはぺポカボチャと青パパイヤ。右の「かご」には林檎と梨。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

トラックバック・ピンバックはありません

トラックバック / ピンバックは現在受け付けていません。

コメントをどうぞ