【古雅楽館】 金糸瓜

 

10年前の大阪発、朝ドラのタイトル「いもたこなんきん」。本来は江戸時代から女性が好むものとして「語呂がよい」ことから上方で「慣用語句」として使われてきた。出所は他にもあって、人形浄瑠璃の作者にして作家『井原西鶴』の作品に「この世 女の好むもの 芝居浄瑠璃(じょうるり) 芋蛸南瓜」という一節があるそうだが、不思議なことにどの作品に載っているのか誰ひとり記していない

 

当時の芋は現在のサツマイモではなく「里芋」、南瓜は「日本カボチャ」、蛸は「明石」だろうが、関東では「いもくりなんきん」がポピュラーだ。これにももっともらしい話があって、「縄文の時代から東日本では栗が多く茂り、主食の一つだったから」という。然し平安時代から『丹波の栗』は有名で、江戸時代には名声が全国に広まっていた位だから極めて疑わしい。

 

それは兎も角、芋もカボチャもあまり良い例えに使われないのだが、共通してユーモアがあるのが可笑しい。それに蛸も・・・。

 

例えは、「イモっぽい」、「芋侍」、「カボチャに目鼻」、「土手カボチャ」、「タコ足配線」、「三タコ」、等々・・・。

 

で、今回は南瓜について。

 

正直カボチャは苦手だ。↑の通りカミさんやムスメはカボチャをしょっちゅう食べているが、あの食感(甘さと置き換えても良い)は酒飲みには合わない。特に古雅楽館の様にジンやウオッカ等のハードな蒸留酒ばかり飲んでいる酔っぱらいにはミスマッチなこと夥(おびただ)しい。せいぜい天麩羅か鉄板焼きのカボチャを弁当のおかずに持って行く位か。

 

カボチャにも種類が沢山あって、これまで馴染の無かった新顔カボチャもかなり一般的になり、通常のレシピとは異なる料理が楽しめるようになった。身近なところでは『ズッキーニ』。日本では1980年代に紹介され、南欧レストランの食材として持てはやされたが、今ではどこの野菜売り場でも売っているフツーの野菜だ。カボチャの品種面からみれば「日本カボチャ」、「西洋カボチャ」ではなく「ぺポカボチャ」に属する。

 

 

 

 

 

【写真上左】金糸瓜は皮が固いのでよく切れる包丁を使う。古雅楽館は『スイカ包丁』でカット。【写真上右】切り分けるとこんな感じ。中のワタと種は「グレープフルーツ用スプーン」でくりぬく。【写真下左】くりぬいて掃除した後。【写真下右】ガサがあるので二回に分けて茹でた。プレートを落し蓋代わりに使う。

 

「ぺポカボチャ」の名は昔から鑑賞用に栽培される『おもちゃカボチャ』の代名詞代わりに言われてきた。現在商戦真最中のハロウィンで使われるオレンジ色のカボチャも「ぺポ種」である。食用にしないとされたが『ズッキーニ』が普及したついでに食用「ぺポカボチャ」が見直され、同じ仲間の『キンシウリ(金糸瓜)』もちょくちょく八百屋に見られるようになった。「八百屋」と書いたのは大手スーパーなどでは絶対に売っていないから。容易に入手できるのは「道の駅」や街中の産直販売所で、今回紹介するものも「たびのレシピ」近くにある産直専門の八百屋で買った。

 

 

 

【写真上左】茹で上がったものは水を張った右の「たらい」で冷まし、軽く指でつぶしてボウルにとる。【写真上右】一個ずつ水の中でほぐす。

 

『金糸瓜』は加熱すると果肉の繊維がほぐれ、糸状になることから『ソウメンカボチャ(素麺南瓜)』、『ソウメンウリ(素麺瓜)』、『イトカボチャ(糸南瓜)』の異名がある。面白いのは英語圏でのネーミングでその名もずばり『スパゲッティ・スクワッシュ』という。茹で方は至って簡単。両端を切り落としてから適当な厚さに輪切りにする。種とワタを取り除き、沸騰したお湯に投入し落し蓋をして15分程茹でるが、食感が悪くなるので茹で過ぎに注意。茹で上がったら即、氷水に晒し粗熱をとる。しばし待った後、手で徐々に果肉をほぐしていくと面白いように麺が出来るので再度水に浸し、さっと洗って水切りして出来上がり。冷凍保存もできるが、あまり長くおくと味が落ちる。

 

 

 

【写真上左】ほぐし終わったところで皮がキレイにむけた。左上のほぐしきれない塊は甘酢漬けにする。【写真上右】一度には食べきれない量なので適宜保存し、食べられる分を『アーリオ・オーリオ』にする(本文参照)。遠目にはパスタそのもの。

 

淡泊でしゃきしゃきした食感が持前なので、あまり濃い味付けは合わない。文字通り「麺つゆ」で素麺の様に食べるのが一般的だが、薄味の「ソース焼きそば」やロングパスタの「アーリオ・オーリオ10」に見立てるのもイケる。他にも工夫次第で色々な楽しみ方がありそうだ。写真にある切れ端を「甘酢」に漬けたピクルスもおいしい。

 

マイナーな種類の南瓜だけに促成栽培はされていないから出回る時期も限られる。しょっちゅう食べるものでもないが 旬の食材を尊ぶ古雅楽館には夏の終わりを告げる数少ない季節野菜として貴重な存在である。 

 

 

 

【写真上】作った残りは翌日の朝食に。目玉焼きをトッピングした冷製パスタ風、隠元とブラックオリーブとのコンビネーション。オレンジジュース。ヨーグルトにミューズリー。

 

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1.Wikipedia 「井原西鶴」を閲覧しても、西鶴の代表的な「浮世草子」にも見当たらない。或いは「浮世草子」のどれか本文中にあるのかもしれないが・・・。これに関わるブログには全て「井原西鶴の作品にもあるそうだ」というだけで、出処はない。ただ上方落語『親子茶屋(おやこぢゃや)』には、この言い回しがあるそうだ。

 

2.取り立てて言うほどの無い人や田舎者をあざけって言うこと。江戸時代から使われていたので「侍」だが今なら『イモ野郎』。

 

3.丸顔で背が低く太っている人をからかって言う、ヒドイ例えだ。もっと差別的なコトバに「カボチャ女もひと盛り」というのがある。

 

4.土手に生えているカボチャは肥料がないので、育っても不味くて食べられない。役に立たない土手のカボチャが転じて「役立たず」の悪口になった。

 

5.コンセントにつないだテーブルタップに多数のコードを接続すること。オフィスや家庭でよく見かける光景だが、便利な反面定格以上の電気使用や長期間使用による摩耗・老朽化で発火の危険性がある。

 

6.「野球用語」 安打が打てないこと。3打席3打数無安打のときは3タコという。

 

7.Pepo 意外なことに英語である。ベリー類の仲間で果皮が固く、一つの実に多数の種があり、裂開しないウリ科の総称。南瓜、胡瓜、メロンなど。

 

8.『ハロウィンかぼちゃ』としてポピュラーな品種は、鑑賞用で食べられないことはないが、渋くて水っぽくスカスカで不味いそうだ。

 

9.Spaghetti Squash 向こうのネットを検索すると、健康野菜としてロングパスタに代るレシピが多数紹介されている。

 

10.イタリア語 Aglio, olio e (peperoncino) アーリオ=ニンニク、オーリオ=オリーブ油、ペペロンチーノ=唐辛子。通称「ペペロンチーノ」は今ではパスタの基本レシピとしてポピュラー。アーリオ・オーリオは文字通り唐辛子抜きの更にシンプルな風味で、レシピ本にもちゃんとある。

 

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【トップ写真】 ハロウィン商戦真最中。「たびのレシピ」すぐ近くの長町駅高架下、tekute正面入り口にも巨大カボチャ『アトランティック・ジャイアント』が。本場アメリカでは300kgにも達するとか。           


 

 

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